まちづくり条例の始まりと概要

建築をする際、様々な申請や検査等がありますが、その中でまちづくり条例に注目していきたいと思います。

そもそも『まちづくり条例』とは何か?⇒ 開発行為や建築 行為に対して、都市計画法や建築基準法の基準及び手 続きを超えて、自治体独自の基準及び手続きを強制力を 伴って課している条例のことである 。

最初に採用したのは、兵庫県川西市(1966年の宅地開発指導要綱) であり宅地開発による自治体の財政圧迫を回避するためのものでした、特にこの時は都市計画法による開発許可制度がまだ登場していない段階だったので、自治体を守るために作られました

都市計画法や建築基準法の枠を超えてということで自治体によって様々ですが、まちづくり条例はまず大きく4つ流れがあります

1.開発・計画の事前周知

2.住民・事業者応答機会の確保

3.申請書の提出

4.違反是正措置(違反していた場合)

事業者・近隣住民・行政担当のなかでどんな意見が出るか予想がつきにくく、調整等のスケジュールによっては事業の開始が遅れる可能性が出てくるので、事業者・申請等の実質手続きをする者は特にその自治体のまちづくり条例がどのようなものか、どういった要望が出やすいのか、スケジュール等を確認する必要があるといえます。

あれ、「畑」でした!?

今回はとある住宅街にある土地でのお話です。

S県で進めている保育園計画があり、とあることで今現在の土地登記簿謄本の地目を確認することがありました。

元々、区画整理事業で整備された土地なので、私どもはてっきり地目は「宅地」になっているものと思っておりましたが、どうやら地目は「畑」です。

この場合、農地転用の「届け出」をしないといけませんね。(不動産業者さんは「のうてん」と略称で呼ぶことが多いです。)

農地転用には「届け出」申請と「許可」申請の2パターンございます。

「届け出」申請・・・市街化区域内にある「田」「畑」を宅地や道路に転用するときに必要です。その自治体にある農業委員会に必要な書類(届け出申請書、公図、登記簿(原本)等)を提出後、だいたい1週間以内(自治体に依ってまちまち)で転用が受理されます。転用の受理が完了後、登記簿の地目を「宅地」に変更して農地転用完了です。

「許可」申請・・・まず許可が必要な土地を以下に挙げます。

・市街化区域外の土地(転用面積4ha以下になる場合)…
この場合は「都道府県知事の許可」が必要です。
★都道府県知事から市町村へ権限を任せられている場合は、農業委員会が許可を出します。

・市街化区域外の土地(転用面積4ha以上になる場合)…
この場合は「農林水産大臣との協議」が必要です。

他にも農地転用自体が原則不可なもの等、規定が諸々ありますが、「許可」申請の場合は許可申請に必要な資料が多岐にわたりますので、司法書士さん等の専門家に協力を頂かないと許可にこぎつけるまで非常に難しいかと思います。

確定”してない”測量?

先日、ある町の保育施設案件のプランニングを進めていく中で、弊社の別の設計士から以下のような指摘を頂きました。(※情報漏洩防止のため、固有名詞等はブランクまたは変更しております。)

「 そういえば、〇〇町の計画地確定測量図の北側の2項道路に関して、境界確定は済んでいるのでしょうか? 〇〇町では「道路境界図」があるはず。もし、境界確定していない場合は「道路境界確定協議立会及び境界確認の交付申請書」のような書面で確定されるはずなんだよね。」

確かに調べてみると、計画地北側の道路境界は確定されていない状態です。 

そこで、私どもはこの計画地の確定測量をされた土地家屋調査士に連絡をとり、「本件北側の2項道路の根拠資料のご提出」を依頼しましたところ、以下のような回答がきました。

『 本件北側道路は添付した図面の通り、〇〇土木事務所 にて戦災復興復元図を保管しており、道路境界線は公的に図面、 座標にて管理されております。
今回の道路線形は、〇〇土木事務所、△△地方法務局と協議して戦災復興復元図に基づき復元したものであります。   道路反対側土地所有者のB様は境界立ち会いしましたが、・・・・(中略)境界同意書にはご署名を頂けませんでした。
しかしながら、道路境界線自体は戦災復興図面等で〇〇町で管理しており、
確定しているようなものなので、本件計画地と接する道路境界線等については、
土地地積更正登記を△△地方法務局に申請し、△△地方法務局職員と〇〇土木事務所の職員とで境界線について直接協議して頂き、境界確定に至った次第であります。

土地確定測量図は道路使用部分と宅地部分とで単純に区分けしただけであり、道路中心からのSBではありませんので、道路中心線の認定については、〇〇町建築指導課等と11月3日に打ち合わせします。(〇〇土木事務所は今日現在の現況道路敷部分の中心線からセットバックするべきとは言っていましたが。) 』

・・・・。 結論としては、計画地北側の道路境界は確定していないですね。もっと言えば、道路境界があやふやなままなのに「確定測量図」とはいえませんよね?ということです。

現況道路敷地部分の中心線からセットバックをするとなると、土地所有者様(今回の保育所計画のために購入した投資家様)から預かっている”確定測量図”の北側の敷地がかなり削り取られます・・・。(添付画像参照) 

道路反対側土地所有者様から境界同意書を頂けない以上、現況道路敷地からのセットバックをかけるしかないのですが、建物の配置をずらさないといけないのは言うまでもありませんが、これは土地所有者様 (しかも購入したばかり) からしたら当然納得できないのではないでしょうか? 土地家屋調査士が「道路境界があやふやなまま確定測量図を作成した」事実は重く受け取るべきです。

確定測量図を元に不動産会社さんも土地を販売するのですから、今回はその根幹となる部分が揺るがされたのです。

敷地が削れる中でもプラン中の建物自体は配置移動だけで済んでいるのは不幸中の幸いです。 ですが、上記記載の様に今回の事は私どもにとっては結構な衝撃ではありました・・・。 

 

特別養護老人ホームとは?

介護施設の設計にも色々ありますが、今回は入居条件の厳しい特別養護老人ホーム【特養】の解説をしていきたいと思います。

まずは特養の定義

特別養護老人ホームの法律上の定義(老人福祉法・第二十条の五)
「特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする」

この定義の上に特徴が4つあります

1.公的な施設のため、老人ホームの中では比較的安価に入居できる

2.看取りの対応が可能なため、終の棲家となりうる

3.地域によっては入居までに待機期間がかかる

4.入居条件が厳しい

特養の入居条件とは

1.65歳以上で要介護3以上の高齢者

2.40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方

3.特例により入居が認められた要介護1~2の方

サービス

特別養護老人ホームでは、都道府県ごとに定められた基準にのっとって以下のサービスが提供されています。

  1. 食事
  2. 入浴
  3. 排せつ
  4. 健康管理・緊急対応
  5. リハビリ
  6. 生活支援
  7. レクリエーション・イベント
  8. 看取り

公的な施設で安価ですが、この入居条件を満たさないと入居出来ないうえに、入居に時間がかかるのですぐに入れるわけではありません。

入居条件・特徴・提供サービスをよく理解した上で特別養護老人ホームの検討をしてはいかがでしょうか!

東京都安全条例には気をつけろ!

…というタイトルをつけてみました。

実際にこの条例で四苦八苦してるからなのですが、この条例自体無理があるなぁと思うばかりです

私が直面しているのは児童養護施設、保育園の建替えで東京都安全条例をどうクリアしていくか?という内容です。特殊建築物の建替えで苦労されてる方は多いと思います。

既存不適格の建物に対する緩和措置があるのですが、それなりに厳しい条件のクリアを求められます。例えば、建物周りに4mの避難経路を設けること、という条件です。そもそも東京都でそんな土地は多くありません(苦笑)。結果としては、渋々ですが建物配置を変更することになりました。なんとか福祉施設としての機能性を担保出来そうなレイアウトに変更できたので一安心です。

事前に行政ヒアリングをして確認したのですが、その時には建替えは問題なしという回答だったので、後出しで指摘をされて本当に困りました😅

スカイリブでは、こんな苦境にも負けず、なんとかプロジェクトが進むよう建築設計をしています。詳細が知りたい方は、ぜひお問い合わせください。